最近また本を読み出しました、読んだ端から忘れていくので
                 あらすじを書いておくことにしました、でも自分でまとめるのが
                 なかなか難しいのでネットから探し出したものです 

イスタンブールの闇    高樹 のぶこ

末の都で運命的に再会した男と女―。16世紀に消えたイズニク・タイルの謎をめぐって、イスタンブールと津和野、ふたつの都市を背景に描く、激しく、狂おしく、ミステリアスな大人の恋。傑作長編恋愛小説

一旦は別れて津和野に戻ってくるが、やっぱりイスタンブールにもどって行く彼女、彼女にとって彼は必要な人だった

 

透光の樹       高樹 のぶこ

 心に決めてたんです…わたし、郷さんの娼婦になるって」25年ぶりに再会した中年男女の激しく一途に燃える愛。汲めども尽きぬ恋心と、逢瀬を重ねるたびに増してゆく肉の悲しみを、著者渾身の熱い文体で描き、第35回谷崎潤一郎賞を受賞。すべての現実感が消えるほどの「結晶のような」透明な恋の物語

男と女が20数年の歳月を越えて、再会した。女は2年前に娘を連れて離婚した。男は妻と二人の子どもがあるが、仕事だけの人生で家庭を顧みていなかった。「相変わらず、貧乏なんですよ」女は言った。「いいなぁ、すごくいいです」「何が、いいんです」「いまの、貧乏って言葉です。あなたは魔法使いだ。明るい鈴の音に聞こえる」あっけらかんと今の状況を語る女を見て、男を援助しようと持ちかけた。女はその申し出を受け、男の情婦になると言った。そして、二人はどうしようもないくらい深い河に落ちてゆく。二人が再会して2年と2ヶ月の間、男が病に倒れ亡くなる少し前までこの関係が続いた。別れた時、男は49歳、女は44歳になっていた。40を過ぎた男と女の約2年に及ぶ付き合いを高樹のぶ子がつぶさに描く

最後に娘の繭が私の知らないところで、お母さんには好きな人がいたんだろうね、自分もそんな恋愛をしたかったと言ったのが印象深かった
痴呆になっても愛しい人を思うちぎりの気持ちが切なかった

            題名へ私の読んだ本

天国への100マイル   浅田 次郎

主人公は「安男」という名の中年男性。バブル経済崩壊後に自分の会社を潰してしまった経営者。                 
その母親が心臓を悪くして入院した。兄や姉は出世コースを歩んでいるが、入院した母親には冷たい。
安男は借金まみれで、離婚経験があり、「マリ」という情の深いホステスのヒモ的な立場に甘んじているが、
兄たちの態度を見て「おれがお母ちゃんを助けなければ!」と一念発起。神の手を持つと言われる名ドクターのもとへ走る。
物語の後半では、主人公の「安男」が2人の女のあいだで心を揺らす。
情の深いホステスの「マリ」と、利発で美しい前妻。
マリはお金を持っている。まるで母親のように男を愛する。だが、そんなに美しくない。
利発な前妻は美しいが、お金はない。そして子持ち(もちろん父親は安男)である。
マリの愛情は、ふかふかの布団のように居心地がいい。そこに男が身をまかせて一生ヒモでいるなら、それはそれで幸せだろう。
しかし「これじゃあオレはダメになる」と気づいたらヒモはやっていけない。
前妻のもとにいる子供たちの存在が、安男にとっては大きい。

自分が豊かな時は親を思い出さない、小説でも書いているように、安男も、苦しんでる今だからこそ
親の事を思うんだと書いている、親ってそんなものかもしれない
安男の嫁の英子さんが、母親に優しいというのは救われた
100マイルの道、親は苦しかっただろうが、幸せだったと思う、悪い子ほど可愛いって言うのが本当なのかも
きっと困ってる子ほど親を頼りにするから、いつまでも自分の子供のような気がするのかも
我家だって、孝司は自分が豊かだったら、こっちのことなんかきっと思い出さないと思う
まだいくらかでもやってやれるから、こっちを見る目があるのかも
ちょっと情けないけどね

分身    東野 圭吾

 

1993年に刊行された作品。北海道育ちの氏家鞠子と東京育ちの小林双葉を主人公にした長編ミステリー。

 氏家鞠子は、大学教授の父親と優しい母親のひとり娘として、恵まれた生活を送っていたが、いつの頃から、母親が自分を愛していないと感じるようになっていた。そして、鞠子が中学生の時、母親が家に火をつけ自分だけ焼死してしまった。大学生になり、母親が残した地図やところどころ顔が黒く塗りつぶされた写真等の手掛かりを得た鞠子は、母親の自殺の原因を探るために東京にやって来る。下条という女性の協力を得て、捜査は徐々に進展を見せるが、やがて自分とそっくりな小林双葉という女性の存在に辿り着く。

 一方の小林双葉は、看護婦の母親とふたり暮らし。友人とロックバンドを組んでいる双葉は、母親の言いつけを破り、テレビに出演した。激怒するかと思われた母親は、思い詰めた様子で双葉を叱ることもしなかった。そしてテレビ出演の直後から、奇妙な出来事が起こり始める。双葉の大学にテレビ局の者だと名乗る人物が現われ、双葉の素行調査を行ったり、母親のもとを見知らぬ男が訪れたり……。やがて、母親が轢き逃げ事件で死亡してしまう。北海道の藤村という男性から、母親を尋ねたのは自分であることを聞かされた双葉は、藤村の招待を受け北海道へ向かう。やがて、双葉も自分と同じ顔の氏家鞠子の存在を知る。

鞠子の章と双葉の章と交互にかいている
クローンである二人を見て、自分の分身とは思わず毛嫌いする晶子の心境がわからない
自分の意思で、できた事なら受け入れられるだろうが、自分と関係ないところで
そんなことが行われていたら、、、やっぱり受け入れがたいのかも
母親って言うのは自分でのお腹に10ヶ月入れておく間に、母親になっていくのかもしれないし
苦労して育ててる間に母親になっていくのかもしれない
化学の進歩とともにこんなことが実際行われてくるのだろうか
アメリカで受精卵の値段が28万円という話をニュースでやっていたけど
いいとことも悪いともろもあって、自分似ている旦那に似ているそんなことを言い合ってこそ親子なのかもしれない 

 
 

 

 

穴    山本亜紀子

老築アパートに住む「売れない作家・真木栗勉」が見つけた「壁の穴」隣りには訳有り美人が。。。。

本の表紙にも「穴」が、見えるのは「Hシーン」・・・で、真木栗くんのしたことは?

ぐいぐい引き寄せられるように読んでしまった

隣の部屋の美人と関係する内容の連載を書いたのだが、自分の書いたとおり人が死んでいく

それの驚く真木栗君、そうなるとわかっていながらも、関係した内容を書いてしまう

そして亡くなる。後で編集者の女の人がその穴をいつけようと思うがその穴はあいていなかった

ずっと君が好きだった   君島 良一

         

互いに想いを残しながら別れ、十数年後に再会した男女が、想いを再燃させていく様子を
切なく描いた恋愛ドラマ。究極のマザコン男 “冬彦さん” も話題に。
一つのカップルがお互いの思いを遂げるためには多くの人の犠牲があるということを教えてくれたし
ひょっとした歯車の狂いで人生が変わっていく事も教えてくれた
何年か前テレビで見たけど,テレビは冬彦さんが狂気のように描かれていたが
小説はそれほどでもなかった

山崎洋子    横浜秘色歌留多

               
   洋風娼館のマダム 亡命ロシア貴族 悪魔主義の文豪
 大正十年、横浜本牧。謎はステンドグラスのように
 妖しくきらめいて――。

主人公桃子が父を探しに横浜に来た所から物語が始まる
横浜についてすぐすりに有り金を盗まれる、その時助けてくれたのが四郎、
彼女は離婚した母の元に父が尋ねていったと思って母の所へ
その母は洋風娼婦館のマダムになっていた、隣に住んでいた文豪に助けられてそこの家に
その文豪は妻の妹と関係があり自分の本の主演女優にしていた
意外なことにそこに四郎が書生としていた
そこの奥さんの世話で隣の亡命ロシア人の家政婦に、そこに綺麗な娘エロァ
エロアに恋する四郎、四郎に恋する桃子
いろいろな事があって四郎が亡くなるその時エロアヲ頼むといわれ
死ぬまでエロァを守る桃子。最後が以外な結末だった                                                                                                              

宮村優子   君だけに愛を

 交通事故を起こして交通刑務所から出てきた村上徹、そこから物語は始まる
恋人の緒方真実子の徹への一筋の愛、被害者は死んでその妹は失明している
一番先に誤りに行ってそん事実を知って驚く、実家!仕出屋むらかみ"の人々
親の反対を振り切って、徹の所へ来る真実子、最初は加害者とは知らずに
徹を愛してしまう梢、徹が腎臓癌になっても愛し子供を欲しがる真実子
やがて二人の子供が出来る、徹は残された命を精一杯生きて以降と決心する
死んだのちは角膜を梢にと言い残して、子供が生まれる前に、徹は亡くなる
二人の愛のほかに、親子の愛、友情、片想い、仲間の愛「、いろんな愛が出てきて
最後は涙、涙で終わった  (自分の感想)            

東京タワー、おかんとボクときどきおとん。
 リリーフランキー

この本はリリーフランキーの半生が書かれた伝記のような作品。子供の頃の母親の様子、父親の様子、そしてリリーが独立してからの母親と父親との関係などが細かく描かれていた。そして母が病気になって、自分がどれほど母を愛しているかを気づく・・・といった感じ。
泣いた、泣いた久しぶりに号泣した、最後のおかんが癌になって看病しているところは自分と重なってなおさら泣けた究極のマザコン小説と書かれていたが、母の愛はみんなこんな感じだが子供に通じるかどうかだおとんも最後までおかんのことを愛していたような気がする

左手に告げるなかれ    渡辺容子

私、八木薔子はスーパー、デイン・ドンの保安士をやっている。元々は一流大学をでて大会社に勤めたが、木島と言う妻子ある男と不倫関係になった。それが木島の妻裕美子にばれ、多額の慰謝料を払わされた上、会社をやめる羽目になった。
 その裕美子が自宅で刃物で刺されて殺された。不思議なダイイングメッセージを残して・・・・。
 警察から疑われた私が、木島を従えて調査を開始すると、さるコンピュータ会社から調査を依頼されているという「探偵」が割り込んで来た。殺された裕美子は、同じマンションの管理人吾妻、犬を飼う飼わないで喧嘩し、あげくは追い出した丹羽夫人などの評判によると散々。しかしフリーターの三木には良かった。
 探偵から得た情報で、最近、デイン・ドンの磯子地区を担当するスーパーバイザーが4人も不振な死を遂げていることが分かる。そして4人目の男と裕美子は共に傘を使って殺されている。裕美子がデイン・ドンでファックスを使っていたことも分かった。
 原因は大きくなりすぎたデイン・ドンの幹部を、親会社のミギワヤが追放しようと、探偵に依頼したしたことから始まった。近所との関係のもつれではなかったのだ。実は探偵本人が、4人を次々に殺し、更に4番目の殺人の直後、現場で出会った裕美子を殺したのだった。
 4人の殺害は、クリステイの「ABC殺人事件」やマクベインの「警官嫌い」と同じ発想で、真の殺人目的の偽装。裕美子は善行を働くがそれを吹聴した。三木は実は探偵が変装していたもので同一人物。アパートにひっそりと住み、近所のうわさに耳を立てていた。彼は裕美子のおしゃべりを知っていたので、彼女が目撃したことを吹聴すると恐れたのだ。
 最後に探偵に木島、薔子、管理人の吾妻が捕まる。探偵の目標は、実は、昔、母を捨てて逃げた父、吾妻への復讐で、ミギワヤに頼まれたのを機会に目標を果たそうとしたものだった。3人、危機一髪・・・・

印象に残った言葉

右の手でよいことをしても左手に教えるな、
良い事をするのは難しいでも良い事をした後でこれを自分の胸にだけしまって誰にもはなさにでいる事はもっと難しい

 スーパーの内幕と保安士の仕事が実によく書けている。作者はひょっとしたら本当に経験者ではないか、と思うほどだ。また人物の特色もよくつかめている。
 しかし殺人の動機、最後のつめなどはややマンガチックと思った。人はこんな安易な殺人はしない、変装はこんなに簡単ではない、こんなにうまくハッピーエンドになるわけはない、と思った。

・万引きした子供の親を呼び出すとね。父親は我が子を叱りつけることで愛情を示すのよ。でも母親は逆。子供をかばって・・・・(53p)
・(お年寄りに)「おじいちゃん」「おばあちゃん」は禁句であるという。(101p)
・あなたが、施しをするときには、右の手でしていることを、左の手にさえも知らせないようにせよ。(106p)
・自分で自宅に進物をおくるというばかげた行為(124p)
・嫉妬は必ずしも嫉妬の顔をしてあらわれるとは限らない。(126p)
・深夜シフトのバイトが大勢友達を呼び寄せて、店で派手に酒盛りしてた・・・(132p)
・縁がちょっと欠けたカップが、倦怠期に入った夫婦、どちらかの浮気だとするだろ。浮気の現場を押さえた写真、真相をつづった報告書は、カップを壁にたたきつけて割ることと同じなのさ(141p)
・イギリス文学に造詣を深めるのが目的でやってきているのは2、3人。あとのおばさんはみんな、講義の後、喫茶店や居酒屋で講師を囲んでだべるのを楽しみにしているらしい(156p)
・あなたも後一年ぐらい一人暮らしを続けて見れば分かるかもね。ゴキブリすら愛しく思えるときがあるものよ。(201p)
・死ぬこと。これは自然の摂理であるが、残された者からすると、非常に大きな罪なのだ。(218p)
・喪主の席で、おれは何を考えていたと思う?この程度に顔を歪めれば、弔問客には嘆き悲しんでいる旦那って風にみえるかなあ。(230p)
・子供の頃見た親父のケツは・・・厚みがあってイカシてたんだ。それがいつの間にかしなびたピーマンだもんなあ。(243p)
・金魚鉢の水が青くなる・・・中和剤で透明になる(296p)
・定期的に配られるドリンク剤に睡眠薬(333p)

コスメテック  林真理子

広告代理店に勤める沙美は、恋も仕事も誰よりも積極的に生きてきた。だが休暇で訪れたパリで、これからの人生に思い悩む。そんな時、田代という男に、フランスの一流化粧品メーカー・コリーヌのジャパンPRマネージャーにスカウトされる。超一級の待遇に戸惑いながらも、もう一度輝きたい、と願う沙美は、コスメ業界への転職を決意する。マスコミや編集部を飛び回り、美を追究していく仕事にやりがいと喜びを見出す沙美。恋人・直樹との間に結婚話も進むのだが…。
婚約寸前まで行くのだが仕事の方を選ぶ、やがてもう一人の男、竹崎が現れるが、ラストは誕生日の日、竹崎と沙美のアパートでこれからというとき、田代が花束を持ってあらわれる、怒って出て行く竹崎、怒る沙美、でも田代は君には、僕が必要だといい、田代と仕事を選ぶ沙美

プラナリア   山本文緒

直木賞受賞作です。プラナリアとは、私は勝手に観葉植物かと思っていました(^^;。
実は、切り刻んでも、それがそのまま、再生して増えてゆく生物らしいです。
その単純明快な生命力と、人にあまり注目されることもないようなところで、
ふらふらと生きているところが、彼女を引きつけるのでしょうか。
彼女を雇ってくれた女性がしたような、あからさまなお節介を、私も、たまにしそうになります。

  • ネイキッド・・・離婚とともに職を失った泉水は、何をする気もなくなり、ただ、自堕落に生きている・・・
  • どこかではないここ・・・パートで深夜働いている主婦の真穂は、高校生の娘のことで、頭を悩ませていた。
  • 囚われ人のジレンマ・・・プロポーズされたのに・・・
  • あいあるあした・・・離婚歴のある真島が主の居酒屋には、よく当たると評判の手相見がいる・・・
  • 表題「プラナリア」とは、切断されても再生するという、ヒルのような形態の川に棲む生き物の事です。
    乳癌で乳房摘出手術を受け片方の胸を無くしてしまった春香が、その「プラナリア」になりたいとつぶやきつづける話です。
    ・・・無くしたものを蘇らせたいという願望か、他者との繋がりの拒絶からか。
    いづれにせよ、つらいであろうことは想像できますが自らの病をネタにして人を凍りつかせるような事を言うのは良くないと思います。
    しかしこういう場合、周囲も彼女にどう接してよいのか解らないということもあるとは思います。
    慰めのつもりの言葉が当人を一番傷つけるということになりかねませんし、的はずれな優しさというものは凶器ともなり得ることがあります。

     「囚われ人のジレンマ」では、心理学専攻でちょっと変わった彼を持つ美都のお話。
    25才の誕生日にプロポーズされ、と幸せ側面だけは幸せそうなのですが、その実ちょっとアレです。
    大学院生という身分の人と結婚するという事もけっこう深いものがあると思います。
    しかし、結婚とはあんなにも打算や夢が渦巻くものなのでしょうか。 とりあえず自分にはなかったような気がします。

    「あいあるあした」離婚、脱サラして居酒屋をやっている男、真島と、同棲しているすみ江という女性のお話。
    他のお話とちょっと毛色の違うのですが、これはこれで良い雰囲気なお話だと思いました

     

    流氷へのたび    渡辺淳一

    紋別を訪れた美砂は、流氷研究家・紙谷に強く魅かれた。
    が、紙谷の心は親友の死以来、冷たく閉ざされたままだった。
    北国を舞台に、移ろいゆく四季のなかで燃えあがる愛の姿を描く長篇ロマン。
    紙谷に引かれていく美沙の様子を丁寧に描いていて
    最後に二人が結ばれるのが良かった

    片想い        東野圭

    年に一度集まる大学アメフト部の集まりも、今年で13回目。毎回話題にのぼるのは、主人公のパスミスによって惜敗した4年生のときのリーグ戦最終試合のこと…。
    それぞれに家庭を持って生活しているかつての仲間たちとの、なごやかな中にもほろ苦さを伴う再会。ところが会がお開きになった後、主人公の前へ現れた元マネージャーである「彼女」の告白によって、物語はとんでもない方向へと転がり始めます。 子供を作ることに対する意見の相違から関係がぎこちなくなった主人公夫婦(奥さんも元マネージャー)の元に身を寄せることになった「彼女」。この時点で既に事件は起こってしまっていて、彼らはそのナゾを解き明かしてゆくことなります。
    「彼女」について、その背景について、さらには冒頭に出てきたリーグ戦最終試合のことについてまでも、明らかにされてゆく過程は、とても面白いです。ですがそれ以上に、途中でちょっと混乱するほど複雑なキャラクター設定と人間関係に私は興味をひかれました。

    性同一性障害や半陰陽などを扱っているため、正直読むのがしんどくなってしまう場面もありました。ですが、白か黒ではなくグレイもある…という捕らえ方は、よくわからないながらもそれらに対する私の認識を少し変えたように思います。
    主人公夫婦と「彼女」だけでなく、学生時代に「彼女」がかつてつきあっていた相手や新聞社に勤めている男など、かつてのアメフト仲間たちの多くをも巻き込んで、物語は全く予想もしない展開を迎えます。結末は言えませんが、まるで映画のラストシーンのように切なくて美しいと私は思いました。泣きました。

    私が読んだのはハードカバーだったのですが、最近発売された文庫のあとがきによると、SMAPの“夜空ノムコウ”を聴いたときにこの作品の構想がひらめいた…と、東野さんがおっしゃっていたのだとか。それを聞いて、

    阿寒に果つ       渡辺淳一

     

    あの死は同情するどころか憎んでもいい。 あの死は驕慢(きょうまん)で僭越(せんえつ)な死ではなかったのか。 すべてを計算しつくした小憎らしいまでに我儘な死ではなかったのか。 と二十年という歳月がたった今、私は多面性を見せる純子という女性の顔を知りたくて純子と関係した5人の人達を訪ね、水晶の六面体からその一つの面だけを垣間見せて去っていった本当の姿を明らかにしようとする。
     そして自分が純子に一番影響を与え、一番純子を愛し、愛されていたと信じている。 果たして純子という女性の真の姿は描き出されたのであろうか?

    最初に自分(若き作家)との関係を綴るせいからか、後に出てくる人に比べ、記述される物語は、一番素直に読者に響いてくる。少年の時の淡い恋心、二人っきりになってのドキドキするような場面、文章は簡潔にして心理状況をよく表し、夏目漱石の「こころ」や田山花袋の「蒲団」を思わせるようであった。

     また、個々の人達との関わりの場面においては、純子のその時の気持ちは理解出来るが、果たして通してみた場合の純子の行動は、一貫したところとか、信念とかいうものが矛盾していて、真摯な心を持っての行動とは思えない。特に姉である蘭子との交わりで見せた純子の行為は、それが本当であるなら、男達にとってはみじめなものといえる。

     今の世の中に純子のような人物が多くなっているのではないかとも思う。そのような気持ちが判るようでもあり、判らないようでもあり、死を選んだ時の心理状態はどんなものだったのだろうか。

     躁(そう)と鬱(うつ)が交互に現れる、芸術家の感受性の鋭さ、精神と肉体の成熟とのギャップ、など色々原因が考えられ、理解されるようでされない風に終わっているが???。


    解説(森開逞次)より

     渡辺淳一氏の芸術家としての履歴は、この揖に編まれた「阿寒に果つ」や「冬の花火」に描かれた時代を受けた渡辺氏の札幌医科大学の学生時代にはじまる。
     純子にモデルがいたことは周知のことである。加清純子、高校三年生の冬に行方不明になり、その春、阿寒湖畔で死体となって発見された。彼女は渡辺氏の初恋の人であった。

    ・第1章
    若き作家の章
    田辺俊一(私)
    旧制から新制への学制の切り替えで男女共学になり、札幌南高校の二年生で時任純子と同級生となる。17才の誕生日を祝ってあげると手紙を貰い、はじめて口を聞く関係に。純子は私にとって未知なる、とらえがたいものでもあった。少年にはわからぬ不透明で妖しい部分に満ちていた。

    ・第2章
    ある画家の章
    浦辺雄策
    時任純子の絵の先生。妻子のある32才のとき、道立女学校の3年生(14才)の純子が絵を習いたいと訪ねてくる。女学校の美術の先生には平川先生がいたが、純子が言うには「才能がない」という。

    秋の道展に「ホオヅキと日記」を出品し入選。「最年少女流画家」として新聞に載る。

    ・第3章
    ある若き記者の章
    村木浩司 
    H新聞社の学芸部記者。時任純子の姉、時任蘭子の愛人。純子を知ったのは、純子が高校一年生の時。プレイボーイとして幾人かの女性を手なずけてきた村木は、純子の方から慰められ、愛されたような受け身の思いが一層奇妙で、体も心も自分の手元に捕らえておきたいと思う。

    ・第4章
    ある医師の章
    千田義明
    札幌のある協会病院の内科長。時任純子が二度の自殺を図った時、胃の洗浄をして助ける。友達というか、信頼しあった関係の立場の人間である。
    自殺未遂の後、千田宛に出された日記の束を保管していた。そこには自らの悩みが吐露されていた。

    ・第5章
    あるカメラマンの章
    殿村知之 
    東京のT医科大学三年生の時に、左翼運動に加わり、深入りした挙句、その後左翼グループのオルグとして札幌へ乗り込んだ。弟の康之が札幌南高校の定時制に通い、同人雑誌をはじめて、その中に天才少女として名高い時任純子も誘ったことから、純子を知ることになる。
    左翼運動で釧路刑務所に留置され、その保釈金を用立て会いに来た後、阿寒に果てた、最後に純子にあった人物。

    ・第6章
    蘭子の章
    時任蘭子
    純子より4才年上の姉。 駒田(30才年上)と付き合っているが、村木を紹介され駒田という安全な港を持ちながら、村木という外洋へ新しい冒険をはじめた。
    純子とは厳格な父親に対抗するように、一緒に抱き合って寝る仲。そこで純子の色々な行動の真意を知るが、やがて純子に負けていく自分を感じ、駒田との別れを告げ、東京に出る決心をする。

     

    最初に自分(若き作家)との関係を綴るせいからか、後に出てくる人に比べ、記述される物語は、一番素直に読者に響いてくる。少年の時の淡い恋心、二人っきりになってのドキドキするような場面、文章は簡潔にして心理状況をよく表し、夏目漱石の「こころ」や田山花袋の「蒲団」を思わせるようであった。

     また、個々の人達との関わりの場面においては、純子のその時の気持ちは理解出来るが、果たして通してみた場合の純子の行動は、一貫したところとか、信念とかいうものが矛盾していて、真摯な心を持っての行動とは思えない。特に姉である蘭子との交わりで見せた純子の行為は、それが本当であるなら、男達にとってはみじめなものといえる。

     今の世の中に純子のような人物が多くなっているのではないかとも思う。そのような気持ちが判るようでもあり、判らないようでもあり、死を選んだ時の心理状態はどんなものだったのだろうか。

     躁(そう)と鬱(うつ)が交互に現れる、芸術家の感受性の鋭さ、精神と肉体の成熟とのギャップ、など色々原因が考えられ、理解されるようでされない風に終わっているが???。


    解説(森開逞次)より

     渡辺淳一氏の芸術家としての履歴は、この揖に編まれた「阿寒に果つ」や「冬の花火」に描かれた時代を受けた渡辺氏の札幌医科大学の学生時代にはじまる。
     純子にモデルがいたことは周知のことである。加清純子、高校三年生の冬に行方不明になり、その春、阿寒湖畔で死体となって発見された。彼女は渡辺氏の初恋の人であった。


    片翼だけの天使    生島治郎

    愛してるんよ。あんたはトクベチュな人よ」―四十代半ばの独身作家が、ソープランドで出会った天使のような韓国人女性。作家は、彼女の舌足らずのしゃべり方や、全身で愛情を表現してためらうことのない一途な性格に魅せらていく。現代では稀有な“純愛”を描いて、熱い共感を呼ぶ大人のための変愛小説。

    続片翼だけの天使   生島治郎

    彼女が旦那さんのとt頃から飛び出してきて、作家と暮らし始め、作家が結婚を決意するまでを書いている

    ラッフルホテル     村上龍

    夕暮れのシンガポール、空港に一人の女が降り立った。名前は萌子、映画女優。恋人である元カメラマンの狩谷を探しに来たのだ。狩谷は萌子の主演映画のスチールを撮った後、シンガポールへ行くと告げて姿を消したのだった。萌子はラッフルズホテルにチェックインし、ガイドの結城の助けをかりて狩谷の消息を探しまわる。そして遂にクリスマスの夜、事業家となった狩谷を発見した萌子は、ジャングルの中に建てられたコテージへ行ってふたりだけの時間を取り戻そうとする。かつて狩谷はジャングルで群生する野生の蘭を見て、その色、その匂いが彼をこの地へと呼び戻したのだった。ふたりはボウガンを片手にジャングルに踏み入り、獲物を狙うが、突然萌子は思いつめたような眼をして、狩谷を狙った。萌子に異様な殺気を感じた狩谷はある日結城とその恋人のマトを自宅に招待する。その夜、眠っていた狩谷の部屋に萌子がふらりと現れる。そして、そんな彼女に狩谷は再びカメラのシャッターを押すのだった。それから何日か過ぎ、萌子が去った後のラッフルズホテルにはエバ・ガードナーらに並んで萌子の名前が刻み込まれていた。


                     

    今夜は眠れない    宮部みゆき

     

    いつの話だったか覚えていないが、ある人が一億円を拾ったというニュースが世間を騒がせたことがあった。その方は、それは散々な嫌がらせを受けたらしい。

     本作を読んで、ふとそんなことを思い出した。平凡なはずのサッカー少年緒方君の家庭に、ある日突然大金が舞い込む。「放浪の相場師」と呼ばれた男が、母さんに五億円を遺贈した。案の定、周囲の態度はがらりと変わる。嫌がらせは殺到するわ、男との関係を疑った父さんは家出するわ…。

     大金が絡めば、そこに人間の欲望が渦巻くのは世の常である。いくらでもどろどろした話を書けそうな設定だが、そこは宮部さんのこと、気を楽にして読める作品に仕上がっている。

     宮部さんの文体に拠るところがもちろん大きいのだが、中学生の緒方君を主人公に据えたことがポイントである。そして、やけに大人びた緒方君の親友、将棋部の島崎君の存在。彼だけは、変わらぬ態度で接してくれる。友達はつくづくありがたいものだ。緒方君は島崎君と協力して、真相の究明に乗り出す。

     五億円に託された意味が、本作の焦点である。実は、金額自体は大した問題ではない。まったく思い切った行動に出たものである。そこにあるのは、ただ無欲で純粋な思い。僕なら少しくらい懐に入れてしまおうとするだろうな、きっと。少しじゃなかったりして…。とにかく、緒方君のお父さんは反省しなさい。

     緒方君も島崎君も、つくづく思慮深く、できた少年である。緒方君はお母さんに似たのだろう。僕なら一粒くらい懐に入れてしまおうとするだろうな、きっと。一粒じゃなかったりして…。綺麗にまとまりすぎている気もするが、まあ一件落着ということで

    夢にも思わない     宮部みゆき

     

    秋の夜、下町の庭園で催された虫聞きの会で、殺人事件が発生する。犠牲者は、緒方君の同級生であるクドウさんの従姉、森田亜紀子だった。彼女は少女売春との関わりが取り沙汰されており、無責任な噂が後を絶たない。大好きなクドウさんのために、緒方君は親友の島崎君と共に真相の究明に乗り出すが…。

     緒方君、島崎君のコンビが調査を進めるにつれ、クドウさんと犠牲になった森田亜紀子との微妙な関係がじわじわと浮かび上がる。亜紀子はクドウさんにとって恐怖の存在だった。亜紀子の人物像には、僕も薄ら寒さを感じる。だから、クドウさんの防衛本能は理解できる。しかし、一方で亜紀子の悲痛な叫びも理解できる。

     終盤に差し掛かり、緒方君は島崎君が自分に何かを隠していると敏感に感じる。それは、親友としての思いやりだった。しかし、事件に関わった以上真相を究明せずにはいられない、悲しい性。中学生ならではの潔癖さが、そうさせるのか。

     緒方君にはわかっていたんだろう。わかっていたけど、思いとは裏腹の言葉を発してしまったのだろう。クドウさんの痛み。亜紀子の痛み。緒方君の痛み。そして読後に残された、読者の痛み…。一概に誰が悪いとは言い切れない。少女売春組織の背後で糸を引いていた連中を除いては。

     思春期ならではの、甘酸っぱさと痛さ。宮部みゆきの二面性の真骨頂である。

    火車      宮部みゆき

    休職中の刑事である本間俊介が、遠縁の男性の依頼を受け、失踪した彼の婚約者を探す物語である。彼女は、徹底的に自らの痕跡を消していた。なぜそうまでして、存在を消そうとするのか? その背後に隠された事情とは…。

     本作のキーワードは、「自己破産」である。思い切りネタばれだが、失踪した彼女はいわばカード社会の犠牲者である。現代社会において、カードを一枚も持っていないという方は皆無だろう。カードは確かに便利だ。必要不可欠と言ってもいい。しかし、無計画に使い続けると…無間地獄へ一直線である。

     カード破産に陥る人間を、誰もがだらしないと蔑むだろう。そして、自分には縁のない問題だと一笑に付するだろう。しかし、本作に登場する弁護士の言葉は、そんな甘い考えに冷や水を浴びせるに違いない。読み進むにつれて、彼女が送ってきた凄絶なまでの人生が、徐々に浮かび上がる。それでもあなたは、彼女を笑うことができるだろうか? 誰もが自己破産予備軍なのだ。

     様々な証言から浮かび上がる彼女の人物像には、薄ら寒さと同時に、喩えようもない悲哀をも覚える。実体をなかなか現さないだけに、よけいに彼女の悲痛な叫びが増幅される。ラストに至り、読者はただただ呆然と天を仰ぐしかない。いつまでもいつまでも、想像は尽きることがない。

     本作は直木賞にノミネートされたが、結局落選した。その後『理由』で受賞したのはご存知の通りだが、どうせ受賞するなら本作で受賞してほしかった。選考委員の見る目は、つくづく疑わしい。

     最後に。本間に彼女の捜索を依頼した栗坂和也は、父親の血をしっかりと受け継いでいるようだ。この男に、彼女の真実を知る資格はない。せいぜい自分の慧眼を過信しているがいい

    理由       宮部みゆき

    一つの町にも等しい巨大マンション、ヴァンダール北千住ニューシティで日本中を騒がせたその事件は起こった。嵐の晩にウエストタワーの下で若い男の転落死体が見つかり、さらに彼が落下してきたと見られる二十階の一室で男女三人の撲殺死体が発見されたのだ。当初は一家四人殺しの大事件の発生かと見られた。ところが不可解なことにその四人のいずれもが、その2025号室の本来の住人ではなかった。真の住人のはずの小糸家親子三人は事件を警察から通知された途端に雲隠れを図り、事件の背後にあるもやもやとした正体のつかめぬ物を予測させた。

     本書の叙述は、全てが終った後で関係者にインタビューしながら組み立てられたという形式。事件発生後の推移が時間順に語られて、謎が徐々に明らかになって行く。特に新聞連載時に読むとその辺のじわじわという呼吸がなんとも言えない。
     2025室は小糸家がローンを払えず競売された物件であり、死んだ四人は悪徳不動産屋に依頼された占有屋であることがわかってくる。そして一番迫力があったのが、殺された砂川一家が実は家族でもなんでもなく、一人一人の身元が明らかになっていくくだり。

     本書が不動産取得の執行妨害という犯罪をモチーフとして扱っているがため、家族や家庭という概念がもろにテーマとして響いてくる。巨大マンションという超近代性。その一方でそれに執着した人々の出自の前時代性。この揺れ幅のものすごさ。
     我々の生きている時代の危うさを作者の手は容赦なく白日の元にさらす。だが、一方で個々の家庭の子供たちに寄せる作者の目はとても暖かい。
     小糸孝弘の内心の吐露と、八代祐司の幽霊の噂で終結するのは、そういう意味でも絶妙である。やっぱり宮部みゆきはうまいなあ。

    鳩草笛      宮部みゆき

     表題作「鳩笛草」他、「朽ちゆくまで」、「燔祭」を収録。3つとも女性が主人公の物語、そして『クロスファイアー』の前奏曲というべき「燔祭」が入っているのに注目(笑)
    それぞれの女性が自分の持つ能力に苦しむ姿がと孤独が悲しくなる。個人的に好きだったのは、「朽ちゆくまで」だ。養い親である祖母の死から、両親の死への疑惑と自分自身への疑惑で苦しむ姿が痛々しかった。しかし、一人ではないこと、彼女が愛されていたことを再発見するラストはいい。